11月22日

12
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不吉な予感はやがて確信へと変わり、自分の顔が青ざめていくのが分かった。
よりにもよって今日、アレを忘れるだなんて本当に馬鹿げている。


「こんな日にアレを忘れるとはどういうわけだ!?」

部長の怒号によって私の状況を察したのだろう。
同僚たちは深いため息をつき、呆れや哀れみの表情を浮かべた。

無情にも昼休みを知らせる鐘がオフィスに響いたまさにその瞬間、勢いよく開いたドアから受付嬢が現れ一言。

「中城さん!奥さんが!」

全てを理解した私は一瞬、部長と目を合わせたのち、妻が待つロビーへと駆けた。

息を切らし微かに目に涙を浮かべる私を見て「本当に仕方のない人ね」と妻は微笑んだ。

「まったく、アレが無くて困ったでしょう?」
「本当にありがとう。一時はどうなることかと思ったよ」

私はようやく息を整え、いそいそと妻に問う。

「それで、例のアレは?」

「はい、お弁当」
その他
公開:19/08/03 12:05

中城 学( 生まれは広島、住居は大阪、ときどき東京 )

小説家を目指す25才です。
みなさんが作る表現や味にたくさん触れたいと思います。
たまに僕も投稿するので、よろしくお願いします。

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