煙草の火

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私は旨い煙草を求めて世界中を旅をしている。

それはある国に立ち寄った時の事だった。その国では、私が愛してやまない煙草が「ぞんざい」に扱われていた。
私は愕然とし、ひどく傷心した。
無性に腹が立った私はある決心をした。煙草を販売しているあらゆる商店に火をつけて回ったのだ。
そんな不当な扱いならば、この国に煙草は無用の長物。最初から存在しない方がマシなのだ。

やがて私は捕まり、本国へ戻され、懲役刑を受ける事となった。
人々は非難したが、私は自らの正義を貫き通しただけ。微塵も後悔はしていなかった。

しかしどうしても許せない事がある。
「八十八番、今日からお前を収監する」
あの国で売られている煙草と同じように、今日から私も「ぞんざい」に番号で呼ばれることになってしまったのである。
煙草にも私にも、れっきとした名前があるのだ!

あぁ、再び煙草に火をつけられるのはいつになるだろう。
公開:19/07/31 20:10

ゴッペ

だいぶ休んでしまいましたが、またちょくちょく投稿できればといいなぁと思います。
コメントもありがとうございます。
どうぞよろしくおねがいします

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