無敵の男

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俺は無敵の男。どんな力自慢も俺には勝てず、どんな賢者も俺を欺くことは出来ない。
連戦連勝。俺がいる限り無敗神話は続いていく。
俺は無敵すぎた。この世界に敵がいなくなった。誰も俺に挑もうとしない。
そんな俺と肩を並べてくれる味方もいなくなった。
「俺達はお前と違うんだ…」
そう言って離れていく味方の背中を見送った。
俺は一人になった孤独さえも克服した。
何故なら俺は無敵の男。恐れるべきものは何一つない。
そんな俺は最近自分の変化に気が付いた。
何を食べても味がしなくなったのだ。
体に異変?そんなバカな。ケガや病気でさえ俺には無縁のものだ。
では何故何を食べても味がしないんだ?
その理由はすぐに分かった。俺には味方がいない。無味である。
そりゃ、味がしないわけだ。
食事が楽しくないと思ったのはいつ頃からだろう?
味方と食事を囲めなくなったのはいつ頃からだろう?
いつになれば私は死ねるのだろう?
公開:19/08/01 18:54

幸運な野良猫

元・パンスト和尚。2019年7月9日。試しに名前変更。
元・魔法動物フィジカルパンダ。2020年3月21日。話の流れで名前変更。
元・どんぐり三等兵。2021年2月22日。猫の日にちなんで名前変更。

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