吸い込まれる
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ある家に福水と名乗る修行僧がやって来た
「どうか、一晩泊めて下さい。その代わりと言っては何ですが、この神秘の水を差し上げましょう」
老婆は試しにその水を少し舐めてみました
すると老婆の肌がみるみる滑々になりました
(おお、これぞ、まさしく神秘の水。これを街で売れば大儲け間違いなしじゃ、ヒヒヒ)
老婆は悪巧みに夢中で、足元の小石に全く気付きませんでした
あっ
ガシャン
老婆は福水から貰った水を全て零してしまった
「ああ、もったいない。土の中に吸い込まれるように消えていく。福水様、もう一度あの水を私に下さい。今度はもっと慎重に扱いますから」
「そうしてあげたいのですが、あれは仙人が住む山に湧き出る貴重な水。また、手に入るかどうか」
「そこを何とか」
「やれるだけはやってみましょう。来年のお盆には戻ってきます」
それから一年経っても、二年経っても福水は戻ってきませんでした
福水、お盆には帰らず
「どうか、一晩泊めて下さい。その代わりと言っては何ですが、この神秘の水を差し上げましょう」
老婆は試しにその水を少し舐めてみました
すると老婆の肌がみるみる滑々になりました
(おお、これぞ、まさしく神秘の水。これを街で売れば大儲け間違いなしじゃ、ヒヒヒ)
老婆は悪巧みに夢中で、足元の小石に全く気付きませんでした
あっ
ガシャン
老婆は福水から貰った水を全て零してしまった
「ああ、もったいない。土の中に吸い込まれるように消えていく。福水様、もう一度あの水を私に下さい。今度はもっと慎重に扱いますから」
「そうしてあげたいのですが、あれは仙人が住む山に湧き出る貴重な水。また、手に入るかどうか」
「そこを何とか」
「やれるだけはやってみましょう。来年のお盆には戻ってきます」
それから一年経っても、二年経っても福水は戻ってきませんでした
福水、お盆には帰らず
公開:19/08/01 13:51
更新:19/08/01 13:56
更新:19/08/01 13:56
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