真夏の出来事

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♪ 彼の車にのって
真夏の夜を走りつづけた 〜 ♪

1971年の夏休みの少し前。とびっきりのいい女が、突然、俺の目の前に現れた。
彼女は、音楽の教育実習生。言わば先生の卵。俺は、坊主頭の多感な中3男子。それから2週間、俺は彼女の虜になった。
スレンダーな肢体に、当時流行っていた黒のスリムジーンズが、凄く似合っていた。
「先生、これあげるよ。俺が好きな、平山三紀の『真夏の出来事』必ず聴いてよ!」
ラジオの深夜放送から落としたカセットテープを、震える手で彼女に手渡した。
緊急連絡網の電話が鳴った。突然の出来事だった。奇しくも俺の誕生日の8月5日。彼女が死んだ。彼とドライブに行った深夜の海辺での交通事故死。助手席に乗っていて、即死だった。ベレットGTのカセットデッキには「真夏の出来事」が・・・。
1971年8月5日木曜日。真夏の出来事。
俺の青春の一頁が、夏にさらわれ消えた。
青春
公開:19/07/30 17:53

渡辺 隆一( 千葉県野田市 )

千葉県野田市在住の、渡辺隆一です。
小学4年生の頃から、文章を書くのが好きで、
今も、趣味で書いています。
ショートショートが、好きです。

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