YELLOW PARADE &33

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大勢のサラリーマンと同じ格好をし、電車を待つ。
私は、「普通」なる現象と共に生きている。

私は私でいたい。
何者かになりたい。
大勢に認められたい。

思春期特有の、病的な性衝動にも似たこれらの承認欲求も、今では大分「ナリ」を潜めてしまった。
どこに行ってしまったのだろう。あの不毛な衝動は。

電車の到来を示す音がホームに響く。

電車がやってくる。この音が私を常に現実へ引き戻す。
私は普通になった。この音が常にそれを示す。

その事実を私はどう対処すればよいのか、未だに分かっていない。

電車内で座る。
すぐに人で一杯になる。

隣の乗客が鞄から何か取り出した。

魔法瓶とカップラーメン。

魔法瓶からお湯を注ぎ、数分待った後、すすり出す乗客。

…電車で…カップラーメン…。

次の駅で駅員に摘み出される乗客。


やっぱ普通で良かったんかな、私。

【社会人】
その他
公開:19/07/28 19:12

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