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父は梱包業を営んでいた。どんなものでも、きっちりと梱包する。というのが父の会社のモットーだった。私が通販で買った商品を返品するときも、おざなりな梱包だと烈火のごとく怒り、商品発送時よりも完璧な梱包を施して返送した。そんな父なので、他の業者の梱包には文句ばかりつけていた。
そんな父が亡くなった。
葬儀会社が手配した棺桶は少し小さかった。そこで一回り大きな棺にしてもらったのだが、そちらへ移してもまだ、頭とつま先とがギリギリだった。なんだか、父の姿勢が最初よりも背伸びをしているように見えたのは、私だけではないようだ。
火葬場での骨上げの時は、一番大きな骨壷に変更してもらったのにもかかわらず骨が入りきらなかったし、セットの桐の箱なのに、骨壷は収まらなかった。
納骨の時もお墓が小さすぎて骨壷が入らず、位牌が大きすぎたせいで仏壇からもはみだした。
「あの人らしいわ」と母は泣き笑いしていた。
そんな父が亡くなった。
葬儀会社が手配した棺桶は少し小さかった。そこで一回り大きな棺にしてもらったのだが、そちらへ移してもまだ、頭とつま先とがギリギリだった。なんだか、父の姿勢が最初よりも背伸びをしているように見えたのは、私だけではないようだ。
火葬場での骨上げの時は、一番大きな骨壷に変更してもらったのにもかかわらず骨が入りきらなかったし、セットの桐の箱なのに、骨壷は収まらなかった。
納骨の時もお墓が小さすぎて骨壷が入らず、位牌が大きすぎたせいで仏壇からもはみだした。
「あの人らしいわ」と母は泣き笑いしていた。
その他
公開:19/07/28 12:25
星新一さんのようにかっちりと書く素養に乏しく、
川端康成さんの「掌の小説」のように書ければと思うので、
ショートショートとはズレているのかもしれないです。
オチ、どんでん返し、胸のすく結末。はありません。
400文字、おつきあいいただければ幸いです。
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