さかさオウム

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「あれ、マスター、その鳥は何?」
喫茶のカウンターで、山田さんは聞いた。
マスターの、横に小さな止り木にオウムがとまっている。

「これ。変わった鳥ですねん」
「え?」
「ちょっとしゃべってみて下さいな」

言われて、彼は鳥にしゃべった。
「フム、フム」
鳥は答える。
「ムフ、ムフ」

マスターは笑った。
「言葉を逆さに、オウム返しする鳥ですわ」

そして、鳥はたまにマスターと客、客と客の話に入ってくる。

上司に調子を合わせ「そう、そう」と言うと、
「ウソ、ウソ」
これにはお客さんも苦笑い。

「なかなか、良くなってきましたよ、だんだん」
「かな、かな。んだ、んだ」
言われた人は、喜んだ。

働き過ぎのお客が「もう、クラクラ」と呟く。
「らく、らく!」
マスターが言う。
「そやね。もっとゆとりを持った方がええと思います」
お客は苦笑いした。

なんだかんだで、皆に愛される鳥になっている。
その他
公開:19/07/28 10:59
更新:19/07/28 11:00
喫茶店

tamaonion( 千葉 )

雑貨関連の仕事をしています。こだわりの生活雑貨、インテリア小物やおもしろステーショナリー、和めるガラクタなどが好きです。

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