びっくり箱

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彼が失くした物を取り出すことの出来るびっくり箱を買ってきた。
失くした物が出てくる?私はそんな箱、とても怖くて使えない…
例えば、子供の時にいつか食べようと思って隠しておいたお饅頭が今出てきたら凄く困る。
例えば、中学時代に作った中二病ノートなんて出てきたら恥ずかしくて死んでしまう。
例えばが止まらない私は失くした物を取り出すことの出来るびっくり箱なんて怖くて使えない。
そんな私を他所に彼は箱を開ける。…何も出てこない。
彼は箱を覗き込み、中を隈なく探すも何も出てこなかった。
肩を落とす彼を見て、私は彼が何をそんなに取り出したかったのか知りたかった。
彼に変わって蓋の開いたびっくり箱を覗き込む。中は真っ暗で何も見えない。
私は恐る恐る手を突っ込んだ。
ん?何かあったぞ。
箱から手を引き抜くと私の薬指には指輪が光っていた。彼がホッとしていた。
成程、これは私じゃないと取り出せないわけだ。
公開:19/07/29 18:49

幸運な野良猫

元・パンスト和尚。2019年7月9日。試しに名前変更。
元・魔法動物フィジカルパンダ。2020年3月21日。話の流れで名前変更。
元・どんぐり三等兵。2021年2月22日。猫の日にちなんで名前変更。

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