MacBookが怨念

4
8

今日は3回目の結婚記念日だ。わかっている。が、仕事が片付かない。大事な相棒MacBookを抱えて家に着いたのは23時を回っていた。

がちゃ

キッチンの扉が開き妻が四角いお盆を持って現れた。満面の笑みだ。怖い。
「ごめん、仕事が」
「いいのよ、今日が結婚記念日だってことは覚えていたのよねぇ?」
「もちろ」
「さ、なら、ケーキを食べましょう」
妻がお盆をテーブルの上に置いた。
「あ゛」
お盆の上に乗っていたのはMacBook。いや、よく見るとMacBookを模倣したケーキ。
それに妻がナイフを入れる。
「これからも二人が円満に過ごせますように」
ぐさっ。ケーキに突き立てたナイフを縦に横に細かく動かす。まるで俺のMacBookを分解するように。

「来年こそは早く帰ってまいります」俺は土下座した。妻は延々とMacBookケーキを切り刻んでいる。俺の膝の上でMacBookがブルッと震えた。
その他
公開:19/07/29 16:07
更新:19/07/30 20:34
甘いMacBook スクー

いづみ( 東京 )

文章を書くのが大好きです。

コメント投稿フォーム

違反報告連絡フォーム


お名前

違反の内容