新訳　蟹座神話

ヘラクレスが来る。宿敵に備えヒュドラーは親友の化け蟹カルキノスとLINEで連絡をとろうとした。
「既読がない……くそ！」
しかたなく、オークションサイトで武器を探していると、北海道の特設サイトを見つけた。クリックして彼は目を見開いた。
なんと、カルキノスが出品されてるではないか！
『獲れたて新鮮！　生きてる間に即決してね～』
悪意に満ちたタイトルだった。

彼は明日から三食TKGな日々を覚悟し、即決価格25000円のカルキノスを落札した。

三日後、商品は届いた。

「冷凍されてるよ……」
カチカチな親友に涙し、同梱された手紙を開いた。

『お買い上げありがとうございます！　もう一匹はサービスです。今後ともご贔屓に！』

親友の下に、もう一匹蟹が入っていた。
出品者の気前の良さに心を打たれた彼はヘラクレスに蟹を送ることにした。
箱から出して、梱包しようとして気づいた。

「あれ。どっち？」