行列のできるハローワーク

長蛇の列。

ここはハローワーク。といっても、並ぶのは人間ではない。役割を全うすることなく捨てられた物達が、来世での活躍の場を求め押し寄せる。

私も窓口係として携わり数十年経つが、最近多いのはつまようじだ。

「私だって、丸い容器の中で身を寄せ合い、仲間と一緒に過ごしたかった。それが割り箸と同封なんて…。ウインナーに刺されてもいい、貝の中身を出すのに使って頂いても結構。しかし、割り箸と同封だと、用途は食後のシーハーの一択じゃありませんか。まだ使われればいい。使うのなんて中年男性くらいでしょ？若年層は存在すら気づかず、そのままポイ。無駄死にですよ」

「いや、その、無駄死にとまでは…」

「何ですか、その奥歯に物の挟まったような言い方は…あ！実際挟まってらっしゃる？では私をお使い下さい！さぁ、存分にシーハーなさって下さい！」

色めき立つつまようじ。全く、骨が折れる…。嘆くビニール傘の私。