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気が付けば、紙屑同然の身となってしまいました。先は長くありません。ですから、あなたと別れる前に少し語らせてください。

あなたと一緒に生まれたときから、あなたをずっとずっと抱きしめ続けてきましたが、私の頼りないぺらっぺらの身体では物足りなかったですよね。ごめんなさい。
真夜中の学校に私たちが置き去りにされたあの日のことを覚えていますか。その頃は私たち、こんなに小さくありませんでしたね。ふふっ、懐かしいなあ。その日の夜は、泣く子も温かい布団にくるまって黙るほどに冷え込みが厳しく、あなたの白くてたくましい身体は静かに震えていました。それなのに、役目もこなさず、漫然とあなたを抱き続けることしかできない私は何て惨めだったことでしょう。
そんな私と、今日に至るまで不満を言うことなく寄り添ってくれてありがとうございました。あなたが懸命に文字を消す姿をもう少し見ていたかったです。
その他
公開:19/07/28 02:06

上北 うてな

行き場を失い、メモ帳に彷徨うネタ達をここで消化&昇華させてます。

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