カプセルシティ

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世界の人口は急増し、寿命も飛躍的に延びた結果、人間が住める場所は手狭になってきた。
各国は、都市を再開発し、コンパクトシティ化を推進したが、一向に追いつかない。
そこで、国際都市保全機関は「カプセルシティ」を開発した。手のひらサイズのカプセルの中に都市を丸ごと圧縮して保管するというものだ。
特殊なマイクロチップに都市のビッグデータをインプットし、カプセルに内蔵すれば、人間をはじめとする動植物や建物、都市の中にあるすべての移転手続きが完了する。
カプセルの中には、その都市の風土が整備され、空気や水、食料など人間に必要なものは揃っており、閉鎖的な空間でありながら、定期的に換気や物資の補給も行われる。
カプセルシティはユートピアと喧伝され、世界中の都市が続々と移転していった。
数年が経ち、地球上から都市の姿が消え、人間を見かけることもなくなった。
今やカプセルシティはAIの管理下に置かれている。
ホラー
公開:19/07/27 19:44
更新:19/07/27 19:45
カプセル 都市 人口 人間 AI

SHUZO( 東京 )

1975年奈良県生駒市生まれ。奈良市で育つ。同志社大学経済学部卒業、慶応義塾大学大学院政策・メディア研究科修了。
田丸雅智先生の作品に衝撃を受け、通勤中や休日などで創作活動に励む。
『ショートショートガーデン』で初めて自作「ネコカー」(2019年6月13日)を発表。
読んでくださった方の琴線に触れるような作品を紡ぎだすことが目標。
2022年3月26日に東京・駒場の日本近代文学館で行われた『ショートショート朗読ライブ』にて自作「寝溜め袋」「仕掛け絵本」「大輪の虹列車」が採用される。

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