丑の日、ウナギの日

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土用の丑の日にウナギを食べるというのは、江戸時代、夏にウナギが売れずに困っていたから生まれたキャッチコピーだ。しかし、いまや風習だけが残り、ウナギを食べる一種の季節行事となったわけである。
けれども、時代は移ろいゆくもので、ウナギの数は減少した。うな丼はなかなか足を運びづらい値段となり、ウナギ屋も苦境に立たされていた。
そこで考え出されたのはウナギの数を増やすことではなく、ウナギを大きくすることである。なんでも温泉の近くなど1年を通して水の暖かい場所では早く育成されらしい。
ウナギを牛ほどの大きさにすれば、1匹から数十人分が取れるだろう。
かくしてウナギの巨大化計画に庶民は再びウナギを食べられる日を夢見るのだった。

困ったのはウナギ屋である。
「ウナギには『串打3年、裂き8年、焼き一生』と言う言葉があるんだ。これではみんな裂きから修行のし直しじゃないか!」
ウナギ屋の困難は続く。
ファンタジー
公開:19/07/27 19:42
更新:19/07/29 21:28

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