びっくり箱

『ハッピーバースデー！』
僕は箱から飛び出した。君の驚いた顔は今でも覚えているよ。
僕はびっくり箱のピエロ。君の両親が君の誕生日にあげたプレゼントさ。
最初驚いた君はその後笑って、僕の親友になってくれたね。
君は遊びに行く時、いつも僕を持ち出しては友達を驚かせていた。
僕も友達がいっぱい出来たみたいで嬉しかったよ。
君がいじめっ子に箱を取り上げられた時、僕は足のバネを精一杯引き絞り、いじめっ子の顔に頭突きをかましてやった。どうだ！僕はこう見えて強いんだぞ！
そんな君も成長するにつれ、僕と遊ばなくなったね。
箱が開けられなくなって何年経つだろう…
ある日、僕の入った箱を開ける気配がした。
びっくりしたよ。だって君は歳を取っていなかったんだから！
飛び出す僕を見て、君は初めて出会った時のように驚いてくれたね。
「ママ、これ何！？」
僕はそこでまた驚いた。君はいつの間にかママになっていたんだね。