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人魚が絶滅した理由は定かではない。ただ、その昔、地球最後の人魚の死体が佐渡に打ち上げられたと記録されている。
今回の任務は、食えば千年寿命が伸びるといわれる人魚の肉を手に入れること。タイムマシンで過去に飛ぶと、時間がずれてしまったのか人魚の肉は切り分けられ宴会の土産として客人に配られた後だった。
私はその一人を追いかけ声をかけた。
「その肉を譲ってくれないか」
男は最初驚いたが、「気持ち悪いから捨てるつもりだった」と包みに入った肉を私によこした。私は男に礼を言い、金を渡した。
そしてすぐに肉を取り出し、ジップロックに入れて冷凍処理をした。これで任務完了。あとは未来に戻るだけだ。
しかしここで思わぬ事態が起こった。タイムマシンが故障して未来に帰れなくなってしまったのだ。任務を遂行するために取るべき手段は一つしかなかった。




千年後、私はボスにジップロックの中に入った一片の肉を手渡した。
ファンタジー
公開:19/07/25 23:40
更新:19/07/26 22:28
スクー ジップロック人魚

のりてるぴか( ちばけん )

月の音色リスナーです。
ようやく300作に到達しました。ここまで続けられたのは、田丸先生と、大原さやかさんと、ここで出会えた皆さんのおかげです。月の文学館は通算24回採用。これからも楽しいお話を作っていきます。皆さんよろしくお願いします。

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