拡散の芽

「最近、巷で騒がせている映像があるそうですが」
「アジテーション動画ですね。あれはヤバいです」
「興奮作用の神経に芽が出るのですね」
「そうです。野原に咲く芽のようにです」
そう言う二人の解説が、インターネット上を
駆け巡った。
これを見たある者は拡散させ、
ある者は、試みたり、
ある者は意味を知ろうと宗教に組み込んだり、
全世界に影響を与えた。
中には政治活動に利用しようとする政治家もいた。
有権者は投票所に駆け込み、一票を投じた。
そしてこの恐ろしい現象を無くそうと、
全世界アジテーション動画条約を
推進した国があった。
しかし、一度広まったものは中々治まるものではない。
ウイルスが病気を広めるように。
今日もネットのどこかでアジテーションは起こっている。