潮騒のダンスをあなたと

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18歳の女の子が憧れの雑誌編集部で働くために村にスーパーがひとつあるような田舎から上京してきました。

お父さんが漁師をしていたので朝早くに海へ行くのを見送り、日中は貝を取って時間を潰し夕方漁から帰ってくるのを待ちました。だから周りに海がないことだけが心配でした。

職場には目鼻立ちのはっきりした細くてなんだかいい匂いのする先輩がたくさんいました。

「あなた、眼鏡なんて時代遅れだわ。明日からコンタクトで来なさい」

「あなた、男の子みたいなショートカットはやめなさい。これから長く伸ばしてゆるいウエーブをかけなさい」

女の子は先輩たちの言われた通りにしました。するとみるみる先輩たちを平均したようになりました。

10年後初めて田舎へ帰りました。
中高の同級生が綺麗になったともてはやしました。
その夜もうお父さんの帰ってこない海を見たとき言いようのない虚しさに襲われ泣きました。
その他
公開:19/07/24 09:30

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