ベリーさん

『このメールを見た人は同じ話を誰かに回してください。さもなければベリーさんが来ます』
こんなメールが来た。いわゆるチェーンメールである。今でも出回ってるらしいが、こんな古典的な文面に懐かしさを覚える。
「ベリーさんて誰だよ」
懐かしい都市伝説を思い出したまま、メールのことは忘れていた。そう言えば、そろそろ一時間経つな。
（来るなら今だよな）
面白半分で部屋の扉の前に立ってみる。特に気配はないが、ないはないで拍子抜けする。
「こんなもんだよな」
漫画でも読もう。そう机に向かった俺は、言葉をなくした。誰かいる。顔の皮が剥がれて表情が分からない。が、右手に皮剥ナイフを握っている。瞼のない目で俺を見下ろして、ゆっくりと近づいてきた。
ヤバい。俺はすぐさまメールを作成し、適当な奴に送信した。目の前のやつは動きを止めた。
（助かったか？）
リン♪通知が来た。
『Mail DAEMON』
誰か助けて。