流行

僕の姉は流行に敏感である。

「これ、来月辺りから流行るわよ」
そう言って、変わった香りのする香水を身に纏い家を出る。
１カ月後、その香りは町中に溢れた。

「これはもう終わりね」
まだ誰も知らないようなインスタ映えする店。その名物スイーツを見て呟く。これからじゃないのか？
１週間後、ブームがやって来るが１か月後には忘れ去られていた。

姉は流行に敏感だ。その予想は確実に当たる。
そんな姉が風邪を引いた。
「今年の病は…これが来るわよ…」
そうか。僕たち一家は予防接種を受けることにした。
姉のおかげで１か月後、全国的に病が広がるも、僕達は大丈夫だった。
姉は毎年風邪を引く。そのおかげもあって、僕達は健康に過ごすことが出来る。

まあ、鉱山のカナリアみたいな扱いをしてしまっている姉には、正直申し訳ない。