オークションに出品された吉田

吉田がリアルオークション会場に現れた。現れたといっても舞台の上。吉田自身が出品されたのである。

吉田はおれの友達だ。友達だが、変人だ。「おれオークションに出品する」冗談かと思っていたが、舞台の上に現れたのだ。リアルオークションの主催者側も戸惑ったらしいが、吉田の熱意に負け、オーケーしたようだ。

「それでは、この吉田、１００円からのスタートです！」
『１０８円！』
「百均かっ！」
吉田のツッコミに会場が笑う。
『５０円！』
「下がっとるやないか！」
吉田がすかさずツッコミを入れる。
『１００万円くれ！』
「こっちが払うんかい！」

「ほかにボケありませんか！」と司会者。
「こら司会者なめとんかっ！」
とその時だった。一枚のプラカードが上がった。
「ウチが買い取ります」
プラカードには吉本芸能と書かれている。
吉田は吉本に落札された。
これが、お笑い芸人「吉田」の誕生したエピソードである。