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(信じられない・・!)
ずっと憧れて、大好きだった先輩からOKがもらえそうだ。
正義感あふれる凛とした眼差しに、憧れていたのだ。
・・・私と違って。

今日も先輩に聞かれた。
「なんでそんなにいつもおどおどしているの?」
好きな人に関心をもってもらえてうれしく、つい話してしまった。
親の仲が悪く、父が私や母を叩いてはお金を取っていくことを。
急に怖くなった。「返事はまたね」と言われたけど、こんなこと話すべきじゃなかった。
後悔に苛まれながら家に着くと、母が「あなたに電話よ」と受話器を渡してきた。
先輩からだった。
「何も心配しなくていいよ。付き合おう、今近くの公園にいるよ」

うれしい!私は急いで靴を履いた。
電話がまた鳴っている。
母が悲鳴をあげた。
「お父さんが、刺されたって!」

私は公園まで走った。
月明かりの下、笑顔で血だらけのナイフを持って手をふる先輩は、やっぱり凛としていた。
ホラー
公開:19/07/25 16:00
更新:19/07/25 15:34

七下(ななさがり)

旧「はるぽこ」です。
読んでいただき、ありがとうございます。

400字制限の長さと短さの間で、いつも悶えています。
指摘もコメントも、いただけたらすべてを励みにします、大歓迎です。

【優秀賞】
渋谷コンテスト「夜更けのハイビスカス」

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