向日の花

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太陽に恋した女がいた。
太陽に真っ直ぐ恋をして、恋に破れて捨てられた。

空に帰って右左、通り過ぎるだけの太陽を、地べたに座って、ただ追い掛けて追い掛けて、見つめ続けて幾日も。やがて根が生え花になった。

それが何の花なのか、今でははっきり判らない。
ヒマワリという人もあり。
キンセンカという人もあり。
ヘリオトロープという人もある。
どれでもないという人さえもある。
太陽を求める花は多いから、一つと決めるのが難しい。

全部だったかも知れないね。
今日も太陽は空を行く。
博愛の射光を投げ掛けて、遠く通り過ぎて行く。
ファンタジー
公開:19/07/22 20:35
原案:ギリシャ神話 ヘリオス(太陽)の恋人

創樹( 富山 )

創樹(もとき)と申します。
前職は花屋。現在は葬祭系の生花事業部に勤務の傍ら、物書き(もどき)をしております。
小石 創樹(こいわ もとき)名にて、AmazonでKindle書籍を出版中。ご興味をお持ちの方、よろしければ覗いてやって下さい。
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ベリーショートショートマガジン『ベリショーズ』
Light・Vol.6~Vol.12執筆参加
他、note/monogatary/小説家になろう など投稿サイトに出没。

【直近の受賞歴】
第一回小鳥書房文学賞入賞。2022年6月アンソロジー出版
愛媛新聞超ショートショートコンテスト2022 特別賞受賞

いつも本当にありがとうございます!

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