謎のサーカス団

6
17

ある夏の午後。
苺のショートケーキの顔をしたピエロを先頭に、象に似た変な生き物、それに跨がり鞭をふる髑髏、銀の甲冑を被った騎士、太陽のように輝く男、肩には小さな猿、等々、大勢の異形の者たちが歌い踊りながら大通りを練り歩いていた。
「サーカス⋯⋯かなぁ?」

ぼくは、その一座のあとを追った。
町外れには、すでに大きなテントが張られていた。
「さぁ、イラハイ、イラハイ」
陽気なピエロに誘われるままに中へ入ると、そこでは今まで見たこともない素敵な寸劇が行われていた。
幻想、怪奇、恋、死、笑い、ごった煮のように入り混じる物語の数々に、ぼくは圧倒され、魅了された。
「すごい、すごい!」
会場にいた子どもたちは、みな拍手喝采した。
そして、最後に苺のピエロが出てくると、ぼくらに向かって呪文を唱えた。

ベーリィ
  ベリベリィ
 苺の子ォ⋯⋯♪

謎の一座は、ぼくらを引き連れて次の町へと向かった──。
ファンタジー
公開:19/07/22 19:02
更新:19/07/22 22:03
ベリショ祭り

渋谷獏( 東京 )

(੭∴ω∴)੭ 渋谷獏(しぶたに・ばく)と申します。 小説・漫画・写真・画集などを制作し、Amazonで電子書籍として販売しています。ショートショートマガジン『ベリショーズ』の編集とデザイン担当。
https://twitter.com/ShaTapirus
https://www.instagram.com/tapirus_sha/
http://tapirus-sha.com/

コメント投稿フォーム

違反報告連絡フォーム


お名前

違反の内容