紳士飼育

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「エサの時間だ!」

俺は柵の中の紳士達に声をかける。
紳士達は「ほぅ?」「今日は何かね?」と某有名ホテルのフルコースを並べた机に次々と集まってくる。

餌が高級過ぎないか?1人1日分の餌代が俺の1ヶ月の給料だ。
つまり紳士は相当高く売れるのだろう。

「どうした飼育係。悩み事なら相談に乗るぞ?」

俺は苛立ちの根本原因に相談する気も起きず、紳士達に罵声を浴びせて部屋を出た。

次の日の朝、紳士達が全員脱走した。柵の鍵が開いていた。
多分、自分だ。
一体いくらの損害になるのか想像もつかない。
気がつくと俺は牧場から逃げ出していた。
しかし道中、豪快に転んでしまった。

そこに逃げた紳士が現れた。
「これで拭きなさい」
白のブリーフをそっと俺に渡し、消えた。
そういえば中に一人だけ変態紳士がいたのを思い出した。

自分が情けなさすぎて、涙が出てきた。
手にしたブリーフで涙を…

拭くか!!
その他
公開:19/07/23 21:06
紳士 飼育

たらはかに( 日本 )

たらはかに

https://twitter.com/tarahakani
猫ショートショート入選 「猫いちご ・練乳味」
渋谷ショートショート入選 「スク・ラブラブ・ランブル交差点(哀)」とか。

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