ガリアG

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帰り道、僕は子犬を拾った。茶色の雑種。コロという名前をつけた。

ある日の散歩の途中、おじさんがコロを指差して言う。

「ガリアG!君、これをどこで?」

「ガリ…コロは、道で震えてたから拾ったの」

「そういうことか…では、返してもらおうか」

「そんな!返すなんてイヤだ!おじさん、コロを捨てたんでしょ。それを今さら…」

僕が言い終わらないうちに、抱っこしていたコロの体が熱くなった。

思わず手を放すと、コロから金属の羽が突き出て、火花をあげ飛んだ。そして上空で閃光とともに、コロは飛散した。

「…不発弾として処理するつもりだったが、まさか今、爆発するとはね」

感情を整理できないまま、僕は顔を覆い泣いた。コロが不発弾?あの可愛いコロが…。

…どの位時間が経ったか。顔を上げるとおじさんはもういない。

「アルビレオV!」

誰かの声。

今、僕の体が熱いのは、きっと涙のせいじゃない。
ホラー
公開:19/07/23 17:25
更新:19/07/23 19:32
ベリショ勝手に協賛祭り

makihide00( 鳥取→東京→福岡 )

30代後半になりTwitterを開設し、ふとしたきっかけで54字の物語を書き始め、このたびこちらにもお邪魔させて頂きました。

長い話は不得手です。400字で他愛もない小噺を時々書いていければなぁと思っております。よろしくお願いします。

Twitterのほうでは54字の物語を毎日アップしております。もろもろのくだらない呟きとともに…。
https://twitter.com/makihide00

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