やしろ七不思議~その二、しろとんび

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鳥居の注連縄に留まったのは、鳶。
参道のおころび様に転ばされる寸前、助けられたと思ったが、頭上から睨む顔は、敵意を感じる程冷たかった。
鳶と解るのは、日頃見ているからで、羽は洗い晒した様に白い。踏ん張った肢は三本あった。
これが次の七不思議。記憶の底を身構えながら浚う。

二の不思議:しろとんび(白鳶)
鳥居の縄を潜るなら、四の刻は避けなさい。
しろとんびが〆子を落とす。三つに一つは大当たり。

時計を確かめる――午後四時四十四分。
白鷹は神鳥、白鳶は泥棒鳥。山岳信仰に由来する俗信。白と四路が交わる時、死路が開く。
注連縄の〆子は三つ。一つで人の頭より大きい。直撃すれば頸椎が折れる。
三つに一つは大当たり。泥棒鳥のお年玉。それが探し物かも知れない。
真っ直ぐ中央。足が速まる。四十四分四十四秒。

潜った。
――ドシ!!
風が首筋を叩いた。
『往ネ』
皺声を運ぶ羽音。
〆子は全て落ちていた。
ファンタジー
公開:19/07/23 16:44

創樹( 富山 )

創樹(もとき)と申します。
葬祭系の生花事業部に勤務の傍ら、物書きもどきをしております。
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ベリーショートショートマガジン『ベリショーズ』
Light・Vol.6~Vol.13執筆&編集
他、note/monogatary/小説家になろう など投稿サイトに出没。

【直近の受賞歴】
第一回小鳥書房文学賞入賞 2022年6月作品集出版
愛媛新聞超ショートショートコンテスト2022 特別賞
第二回ひなた短編文学賞 双葉町長賞

いつも本当にありがとうございます!

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