ーーー海へ。

22
21

「海まで」
俺はタクシーで女性の客を乗せた。

「どの辺りでお止めしますか?」
「海へ」
「はっ?」
「海へ飛び込んで下さい」
いや、冗談でしょ?
「うっ!産まれるぅー!運転手さん!サポート!」
「マジかっ!嫌だ!無理っ!」
というか何?海とか産まれるとか、色々盛りすぎでしょ!

ぽこ。ぽこぽこぽこぽこ

うわぁーー!きょーふーー!
小さいこけしが100体位、女から産まれた!
ていうか、俺のこけし、花子が。
「何してんだよっ!花子!」
「産まれてみました。お友達に頼んで。斬新でしょ?」
「確かに斬新だけど。そんな分裂して、家に小さいこけし、どんだけ並べんだよ!友達も何でこけしと友達なの?あれ?いない」
「幽霊です。彼女は」
「もうそういうのやめて〜。怖いから」
「明日、我が家に遊びに来るそうです。溺死した友達も連れて」
「勘弁して下さい」

ーー海の夕陽はそんなこけしと俺を美しく照らした。
その他
公開:19/07/21 15:31
ベリショ祭り ベリショーズvol.3 恐怖テーマ 10101298オマージュ こけしの花子withジャージ しょーもない部門

さささ ゆゆ( 東京 )

最近生業が忙しく、庭の手入れが疎かな庭師の庭でございます。

「これはいかんっ!!」と突然来ては草刈りをガツガツとし、バンバン種を撒きます。

なので庭は、愉快も怖いも不思議もごちゃごちゃ。

でもね、よく読むと同じ花だってわかりますよ。


Twitter:さささ ゆゆ@sa3_yu2





 

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