びっくり箱

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実家の蔵を片付けていると洒落た箱が出てきた。気まぐれに少し磨いてみる。箱がパカッと開いた。
「私はびっくり箱の魔人。箱を綺麗にしてくれてありがとう。お礼に私に出来る事であれば1つ願いを叶えてあげましょう」
これ、びっくり箱だったのか!まあ、中から魔人が出てきたら誰だってびっくりするだろう。
願い事か…ここで『ちょっと待って』なんて言ったらそれが願い事になりかねない…ここは単純に金銭を要求するべきだ。
「それは出来ません」
即答だった。
「私に出来る事、と言いましたよね。私は長年箱の中に閉じ込められていたんですよ。お金なんて一銭も持っていません。料理洗濯掃除も一切出来ません。魔法?そんなファンタジーあるわけないでしょう。さ、願い事をどうぞ。貴方の願いが叶うまで私は貴方の家に居候します」
以来、魔人は俺の家で悠々自適なニート生活を続けている。
帰ってくれ。それが俺の願いだ。勿論、叶っていない。
ファンタジー
公開:19/07/20 18:26

幸運な野良猫

元・パンスト和尚。2019年7月9日。試しに名前変更。
元・魔法動物フィジカルパンダ。2020年3月21日。話の流れで名前変更。
元・どんぐり三等兵。2021年2月22日。猫の日にちなんで名前変更。

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