240. 西瓜(すいか)

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義母は西瓜を嫌っていた。
子供の頃何度か種を噛んでしまい、その食感の悪さ苦さで気分が悪くなったからね、と夏が来る度にそう口にした。
それでもどうしても家族に食べさせたかった私は、長男が三歳になる頃一度スイカを買ってきて夕食後に食卓に出したが、義母は「きっと後悔するよ」と呟き、食べずにその場を去った。
それ以来、私が西瓜を購入することはなくなり、いつの間にか食べたいとも思わなくなってしまった。
息子は学校の給食で出されたこともあったようだが、食べ慣れないものだからと友人にあげたらしい。

義母が体調を崩し、他界するまではあっという間だった。お腹が異様に膨らんでいたので、死因を特定する為解剖に同意したが、結果を聞いて喫驚した。
「おばあちゃんは西瓜を身籠っていました」
見せてもらった写真に写っていたのは、子宮内いっぱいに這っている緑のつると葉と、赤子の頭程の大きさに育った4個の西瓜だった──。
ホラー
公開:19/07/22 00:00
更新:19/07/22 10:30
ベリショ祭り Vol.3 恐怖

ことのは もも。( 日本 関東 )

日本語が好き♡
18歳の頃から時々文章を書いています。
短い物語が好きです。
どれかひとつでも誰かの心に届きます様に☆
感想はいつでもお待ちしています!
宜しくお願い致します。

こちらでは2018年5月から書き始めて、2020年11月の時点で300作になりました。
これからもゆっくりですが、コツコツと書いていきたいと思います(*^^*)

2019年 プチコン新生活優秀賞受賞
2020年 DJ MARUKOME読めるカレー大賞特別賞受賞
2021年 ベルモニー縁コンテスト 入選

 

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