あじさい寺
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住宅街を歩いている時、目の前に石段が現れたので、登ってみた。
たどり着いた山門の向こうは、紫陽花の園だった。
鮮やかな色を放つ、手鞠咲きの花束達。手近のよひらに顔を寄せると、あおい花弁がふるりと震えた。
「お持ち寄りですか」
僧侶が立っていた。
「おもちより?」
尋ね返すと、微笑まれる。
「御観覧ですね。良い時にいらっしゃいました」
僧侶の言葉を引き継ぐように、ごーん、と鐘の音が響く。一つ。二つ。三つで止んだ。
「今からご覧にいれましょう。と、その前に」
僧侶は襟元に指を差し入れた。ゆっくり引き抜かれた爪先にとまっていたのは、あおい羽の蝶がひとひら。
私の持ち寄りです、と僧侶がはにかむ。指先を手近な紫陽花に添えると、瞬く間に、蝶は花の群れの一部になった。
「それでは参りますね」
ぱん。
驚くほど高らかに、僧侶が手を打ち鳴らした瞬間。
庭中の紫陽花は蝶となり、枝を離れて舞い去った。
たどり着いた山門の向こうは、紫陽花の園だった。
鮮やかな色を放つ、手鞠咲きの花束達。手近のよひらに顔を寄せると、あおい花弁がふるりと震えた。
「お持ち寄りですか」
僧侶が立っていた。
「おもちより?」
尋ね返すと、微笑まれる。
「御観覧ですね。良い時にいらっしゃいました」
僧侶の言葉を引き継ぐように、ごーん、と鐘の音が響く。一つ。二つ。三つで止んだ。
「今からご覧にいれましょう。と、その前に」
僧侶は襟元に指を差し入れた。ゆっくり引き抜かれた爪先にとまっていたのは、あおい羽の蝶がひとひら。
私の持ち寄りです、と僧侶がはにかむ。指先を手近な紫陽花に添えると、瞬く間に、蝶は花の群れの一部になった。
「それでは参りますね」
ぱん。
驚くほど高らかに、僧侶が手を打ち鳴らした瞬間。
庭中の紫陽花は蝶となり、枝を離れて舞い去った。
ファンタジー
公開:19/07/21 22:26
べリショ祭り
vol.3
だと言い張ります汗
はな(し)を持ち寄る
読んでくださる方の心の隅に
すこしでも灯れたら幸せです。
よろしくお願いいたします(*´ー`*)
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