こじつけ

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私は、夕刊を脇に抱え、高津さん家のインターホンを鳴らした。

高津さんは、いつも気さくな人柄で近所からの評判もよく、町内会の会長に抜擢されるほどの人格の持ち主だった。

「おかしいな」
普段なら、ベルが鳴ると、すぐに額の前で手を三角にして、新聞を取りに来てくれるのに、今日はそれがなかった。

私は建物の裏手にまわり、垣根越しに、家の中の様子を覗いた。常に手入れがされているガーデニングの様子を見るに、朝、如雨露で水をあげていたのは間違いなさそうであった。
そして、目を凝らして、もう一度、中を覗いてみると、部屋の窓が開けっぱなしになっており、カーテンが風で孕んでいた。

カーテンがもう一度、風になびいた瞬間、リビングで血塗りになって倒れている高津さんの姿が露わになった。

私がすぐに家に駆け込み、ゆっくりと玄関のドアを施錠した。
その他
公開:19/07/21 22:24

神代博志( グスク )









 

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