苺百物語

24
19

肝試しをしようと、幽霊が出ると噂の廃屋に私たちはやってきた。
「恨みを抱いて死んだ幽霊が、丑三つ時の格好で呪いにくるらしいよ」
ニヤニヤしながら先輩が説明する。全くどこから情報を仕入れてくるのか。懐中電灯の明かりを頼りに私たちは歩き出す。すると、暗闇の向こうからぼんやりと火の玉のようなものが見えた。
「ね、ねえ、あれ」
言いかけた拍子に、電灯が何故か切れてしまった。慌てる私の目の前に、頭に蝋燭をつけた誰かが近づいてくる。その白い顔はただれ、何やら甘い香りをさせていた!
「怖い話をするベリー!お前を蝋燭にしてやろうかベリー!」
「ぎゃー!ショートケーキが喋ってる〜!」
しかし、なんと美味しそうだ。苺も真っ赤で食べ頃だ。しかもちょうど先輩の誕生日じゃないか。
「まさか、食べるベリか?!いや〜堪忍ベリ〜!!」
ムシャムシャ、ベリリ……。
げに恐ろしいのは、人の欲なのかもしれない。
ちゃんちゃん。
ホラー
公開:19/07/21 21:32
更新:19/07/21 21:37
ベリショ祭り しょうもない部門 (こんなので大丈夫かしら…)

風月堂( 札幌 )

400文字の面白さに惹かれて始めました!
文字や詩のようなものを書くのが趣味です。
情緒不安定気味でアゲサゲ落差のひどい人間ですw
いろんな方々の作品を読んで、心を豊かにしていきたいです。

無料の電子書籍をつくりました。
『ショートショート作品集カプセルホテル【】SPACE』
a.co/1VIyjHz

『枇杷の独り言』
ショートショートコンテスト『家族』最優秀賞頂きました。

写真は全て自前でやっています(笑)

こちらで写真を紹介、ハガキにと販売しております!
https://minne.com/@sakoyama0705  - ハンドメイドマーケットminne(ミンネ)

コメント投稿フォーム

違反報告連絡フォーム


お名前

違反の内容