びっくり箱

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僕のお父さんはバネ工場で働いている。朝早くから夜遅くまで頑張って働いている。
お父さんは毎日、僕にバネをくれる。
僕はバネが大好きだ。お菓子の箱にバネを詰め込んでは、びっくり箱に改造して友達を驚かせた。
友達は僕の作るびっくり箱にびっくりしてくれる。びっくり箱は僕の自慢だ。
僕は毎晩、夕ご飯を食べるとびっくり箱を作ることにしている。
僕にお母さんはいない。テレビを見ても虚しくなるだけだ。勉強にも今一身が入らない。今日もお父さんの帰りは遅い。
だから僕は夢中でびっくり箱を作った。明日、友達のびっくりする顔を想像しながら作るこの時間が僕は大好きだった。

ある朝、僕の枕元にびっくり箱が置かれていた。
これ…僕が作ったものじゃないぞ?
中を開けてみると、遊園地のチケットが2枚飛び出してきた。
「今度の日曜は思いっきり遊ぶぞ!」
お父さんは少年のように笑った。
僕はびっくり箱もお父さんも大好きだ。
公開:19/07/21 19:34

幸運な野良猫

元・パンスト和尚。2019年7月9日。試しに名前変更。
元・魔法動物フィジカルパンダ。2020年3月21日。話の流れで名前変更。
元・どんぐり三等兵。2021年2月22日。猫の日にちなんで名前変更。

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