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太陽が煌々と輝く夏の昼下がり。油蝉の鳴き声が、周りの空気に希釈され、空間と一体になる。
 辻井貞夫は、蒸し暑い森の中を歩いている。辻井は、急に足を止め、周りを見渡す。しばらくすると満足し、またスタスタと歩き出した。
 しばらく歩いていると、目の前に立入禁止の看板が出てきた。奥。辻井はその看板を横へどけ、中へ入っていく。
 立入禁止の場所は、今まで歩いてきた道と比べ、森の匂いがより一層立ち込めている。太陽の光はいつもと変わりなく差し込んでいる。蝉もまた同様に。
 一定の歩調で歩みを進めていると、死体を見つけた。どうやら上に取り付けてあった縄からずり落ちたらしい。首全体が縄で引っ掻かれたような痕がある。それを隠したいのか、多くの蝿が顔のあたりに集っていた。 
 一通り見ると飽きてしまったので、さらに森の奥へ行くことにした。
 蝉が、さらに加速して鳴き出した。
その他
公開:19/07/21 17:33

軽めの砂糖

一月ほど前から急に小説を書こうと思い立った人です。
 

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