下手打つバッティングセンター

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入社して早3ヶ月…今日も今日とて失敗の連続。これじゃ仕事に来ているのか怒られに来ているのか分からない。
自らの失敗が招いた残業を片付けると僕は帰り支度を始めた。
「君、今帰りかね?」
その声に背筋が凍る。毎日僕を叱りつける鬼部長だ…
「少し付き合わんか?」
僕に断る権利など存在しない。居酒屋で説教コース…それを覚悟してついていった先はバッティングセンターだった。
部長は機械に何かを吹き込むと吐き出された球を豪快を打ち上げた。
「あの部長…『トイレットペーパー買い忘れた』って今聞こえたんですが…」
「儂が昨日やってしまった失敗だ。ここだけの話、妻に毎日怒られている」
部長は次々と球を打ち上げる。
「いいか、誰だって失敗する。失敗を経て人は成長する。失敗を恐れるな。失敗なんて思いっきりかっ飛ばしてやれ!」
部長は兄貴みたく笑った。
僕も部長に倣い、下手を機械に吹き込むと思いっきりかっ飛ばした。
公開:19/07/19 18:19

幸運な野良猫

元・パンスト和尚。2019年7月9日。試しに名前変更。
元・魔法動物フィジカルパンダ。2020年3月21日。話の流れで名前変更。
元・どんぐり三等兵。2021年2月22日。猫の日にちなんで名前変更。

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