消防隊員

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「今、助けてやるからな」
消防隊員の男性は、炎が渦巻く中、瓦礫の隙間からのびた小さな手を掴み、そう呼びかけた。

「うん」
すすまみれの顔の子供は、活発な笑顔はみせなかったものの、意識は少しばかりあった。

消防隊員は、左右を確認し、数十メートル先に落ちていたバールを拾い、それを使用し、瓦礫の山を崩した。

次第に、子供の身体の全体が見えてくる。

消防隊員は、子供を救助し、その子をおんぶし、出口へと向かった。

「りょうくん」
その子の母親が出口で二人の無事を出迎えた。

消防隊員は、その子をゆっくりと背中から下ろした。母親はすすり泣きながら、その子を抱擁した。
その他
公開:19/07/18 23:55

神代博志( グスク )









 

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