ヘビの缶切り

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先日、一風変わった缶切りを入手した。
蛇のような動きで一瞬にして蓋を開ける缶切りだという。どんなサイズ、素材でもすぐに開けることができるとか。

使ってみることにした。
牛すじ缶、白桃缶、サンマのかば焼き缶。
その後の処理のことも忘れ、次々開けてしまった。缶切りの動きは実にユーモラスだった。

蓋の周りにシュルシュルと巻き付き、無数の尖った鱗を一気に缶の外周に突き刺す。ぷし、と小気味よい音が響いて、一瞬で蓋が開く。

最後に、今日開けてしまおうと思っていたおでんの缶詰を開けさせることにした。缶切りが缶に巻き付いている間に、他の夕飯を準備する。

缶詰、開けすぎたなあ。と思いながら戻ると、蓋はすでに開いていた。
けれどおかしい。卵が入っていない。おでん缶で最後まで取っておく具材。
慌てて周囲を見回す。
「……おまえ、食べただろ」
缶切りは、卵を丸呑みした蛇のように、不自然に膨れ上がっていた。
ファンタジー
公開:19/07/18 21:37

たけなが


たくさん物語が作れるよう、精進します。
よろしくお願いします!

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