往生際の悪い輪廻

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「ずっと前から好きでした!」

…またか。

「…念のため確認。あなた町人の久兵衛よね?」

「はい!今は会社員の橋本です!」

「…これ何回目?」

「5回目です!」

「毎回、よく私のことわかるわね」

「そりゃ姫の美しいお顔はすぐに!」

「シーッ!…今はOLだから姫とか言わないで」

出会った頃は、とある城の姫と町人だった。告白されたが断った。身分も違うし…私は不老不死だから。

私はずっと25歳のまま、どうにか時代に合わせて生きてきた。そしてこの男は、どういうわけか何度も転生して私の目の前に現れ、愛の告白をする。

「…あのね、私は不老不死。あなただけ歳をとって先に死ぬのよ」

「そしたらまた来世で出会います!」

「…ごめんなさい」

「ダメか…仕方ない、また来世で!」

やれやれ、バカは死んでも治らない、か。

…私も、バカになろうかな。

人生ただ一度きりの、繰り返す愛に。
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公開:19/07/18 20:00
更新:19/07/18 20:44

makihide00( 鳥取→東京→福岡 )

30代後半になりTwitterを開設し、ふとしたきっかけで54字の物語を書き始め、このたびこちらにもお邪魔させて頂きました。

長い話は不得手です。400字で他愛もない小噺を時々書いていければなぁと思っております。よろしくお願いします。

Twitterのほうでは54字の物語を毎日アップしております。もろもろのくだらない呟きとともに…。
https://twitter.com/makihide00

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