プロレスラー配給します

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蛇口を捻ると、プロレスラーが出てくる時代になった。赤い栓を開けるとホットなレスラーが現れ、青い栓だとクールタイプが登場する。
引越しやら草むしりやら、力仕事を頼みたいとき、赤い蛇口をひねる。身辺警護なら青い蛇口だ。仕事が終わると、彼らは排水溝から帰っていく。
ところが、このプロレスラーを悪用する人物が現れた。
蛇口から出てくる清プロレスラーを腐らせ、悪役に変身させるのだ。悪役は市民を病気にさせ、ときに危害を加える。とても恐ろしい存在なのだ。
悪役から身を守るために、プロレスラー需要は高まる一方だった。
孝之は反省した。今月はプロレスラーを使いすぎたかもしれない。
プロレスラーを使う際に、何より恐ろしいのは請求書だ。請求書は金額が大きいほど強く、プロレスラーといえども請求書とは争えない。
郵便受けからのっそりと過去最強クラスの請求書が身を躍らせてきた。孝之は身構えた。
ゴングは鳴らされた。
SF
公開:19/07/20 14:14

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