スキの傷

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「ね~テツ。『素敵です』って、何か惜しくない?」
ボード叩きながら、奇天烈な呟きが入った。
「惜しいとか以前に、意味解んねぇ」
カズが捻ってたのは、確か歌詞だ。酒入ったせいか知らんが、どうもこいつ、一個モードずれてるな。
「締切ギリだ。リキ入れて書けよ」
「今のも部分的に。あと一歩、ポイント甘い感じ」
ノートに並んだ断片に、煮詰まったごちゃごちゃが出てて、こりゃ駄目だと思った。むしろブレイク入れた方が賢明。
『気付きそうな嘘。傷。キス≠好き?
――オイウチニチュウイヲ』
「追い打ち?不意打ちじゃね 」
Chu.
不意打ちされた。カズの奴、酔っ払うとキス魔なんだよな。
「テツ、隙だらけ~」
好きだらけだよ。一体いつ気付くんだ。
シェアでキープするのも、大体限界。大歓迎だとは言わないが、お前さえその気なら、旦那に、なんて……。
「タイトル『スキの傷』にしよ」
俺的には、『スキのキス』希望だな。
青春
公開:19/07/20 12:38

創樹( 富山 )

創樹(もとき)と申します。
前職は花屋。現在は葬祭系の生花事業部に勤務の傍ら、物書き(もどき)をしております。
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ベリーショートショートマガジン『ベリショーズ』
Light・Vol.6~Vol.12執筆参加
他、note/monogatary/小説家になろう など投稿サイトに出没。

【直近の受賞歴】
第一回小鳥書房文学賞入賞。2022年6月アンソロジー出版
愛媛新聞超ショートショートコンテスト2022 特別賞受賞

いつも本当にありがとうございます!

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