タクしぃー
15
12
しこたま飲んだ。前後不覚。来たタクシーを止めて、後部座席に倒れこんだ。
「この1万でぇ、行けるとこまで、な」
あいよ、と運転手はお金を受け取って車を発進させた。
「こんな客も相手にしてくれるたぁ、ねぇ」
「それが日本人ってやつですよ。だんな」
変わった運転手じゃねえか。少し酔いが冷めてきた。窓の外はすでに知らない町だ。
「日本人なんざ、言われたことしかできねえのかと思ってたぜ」
「いやいや逆ですよ。あえて皆まで言わない。受け手に託しちゃうんですな。だからこそ17字で詩が成り立つし、忖度だってお手のもの」
まったくだ。だから俺ばかりが損してる。くそっ。もう一杯ひっかけるか。そろそろメーターも1万…。
「おい、止めてくれ」
返事はない。代わりにアクセルがベタ踏みされて、運転手は猛スピードのタクシーから転げ出た。目の前にひろがる夜の海…。
「ば、馬鹿野郎!深読みしすぎだ」
「この1万でぇ、行けるとこまで、な」
あいよ、と運転手はお金を受け取って車を発進させた。
「こんな客も相手にしてくれるたぁ、ねぇ」
「それが日本人ってやつですよ。だんな」
変わった運転手じゃねえか。少し酔いが冷めてきた。窓の外はすでに知らない町だ。
「日本人なんざ、言われたことしかできねえのかと思ってたぜ」
「いやいや逆ですよ。あえて皆まで言わない。受け手に託しちゃうんですな。だからこそ17字で詩が成り立つし、忖度だってお手のもの」
まったくだ。だから俺ばかりが損してる。くそっ。もう一杯ひっかけるか。そろそろメーターも1万…。
「おい、止めてくれ」
返事はない。代わりにアクセルがベタ踏みされて、運転手は猛スピードのタクシーから転げ出た。目の前にひろがる夜の海…。
「ば、馬鹿野郎!深読みしすぎだ」
ホラー
公開:19/07/19 22:35
400字って面白いですね。もっと上手く詰め込めるよう、日々精進しております。
ログインするとコメントを投稿できます