びっくり箱

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猫は箱作りの名人である。
私は猫の作る、香箱が大好きだ。
あのふわふわの胸毛。折りたたまれた手の甲。
私は猫が香箱を組むと、そこに手を入れたくて仕方がない。
しかしこれは危険な行為だ。
猫の機嫌が悪ければ噛みつかれる。引っかかれる。あまつさえ嫌われでもしたらどうしよう?
そんな不安があるにもかかわらず、私は手を突っ込みたくて仕方がない。
だって、今日は機嫌がいいかもしれないじゃないか。
私は恐る恐る、猫の香箱に手を伸ばした。
今日の猫は私の手を受け入れてくれた。おお!柔らかい!
このままもう少し奥に手を突っ込んで…あれ?何か指先に当たったぞ?
そっとそれを引き出してみる。この前、失くしたイヤリングの片割れだった。
やっぱりここにあった。
そう、ウチではなぜか失くしものをした時、猫の香箱を探るとそこから出てくることがある。
猫の香箱。私にとってそれは失くしものが出てくるびっくり箱でもあった。
公開:19/07/16 18:45

幸運な野良猫

元・パンスト和尚。2019年7月9日。試しに名前変更。
元・魔法動物フィジカルパンダ。2020年3月21日。話の流れで名前変更。
元・どんぐり三等兵。2021年2月22日。猫の日にちなんで名前変更。

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