白衣の悪魔

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白衣の天使なんて名ばかりの先輩の口が開く。無機質な病院でぴんと空気が張り詰める。毛穴という毛穴が萎縮する。

「なんで一回言ったことが覚えられないの!もっとがむしゃらにやりなさいよ」

先輩の怒号が飛ぶ。しかし1日に初めてを何十回も繰り返しているので全て言われたことを完全に覚えることはキャパオーバーである。とはいえ怒られたという印象は強く残っているので安易に質問出来ない。

(これってあってたっけ…)
不安に思いながら手技を行う。

「なにやってんの。分からないんだったら聞きなさいよ。あんた責任とれんの」

聞いても聞かなくても結局は強烈に怒られて勤務が終わる頃には心も体もボロボロだ。

「昔は泣きながら仕事を覚えてた」
「私たちの頃は寝ずに勉強してた」

なぜだろう。

決して悲しくないのに辛いとも思っていないのに、なぜだろう、涙が止まらない。
その他
公開:19/07/16 11:28
更新:19/07/16 14:47

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