びっくり箱

7
10

ある日、道端で掌に収まるほどの小さな箱を拾った。蓋の画面にはレベル1と表示されていた。ボタンを押すと、ビヨ〜ンとバネ仕掛けの人形が飛び出した。
「うわっ」
びっくり箱だった。
蓋を閉めるとレベル2になっていた。もう一度ボタンを押す。
ビヨ〜ン!
今度は3になった。楽しくなって、塀の上にいた猫に向けてボタンを押した。
ビヨ〜ン!
猫が驚いて逃げていく。
道行く小学生にも。
ビヨ〜ン!
小学生も逃げていく。
そしてレベル10になった時に気がついた。
びっくり箱が成長している。箱の大きさも、中の人形も、蓋が開いた時のアクションも。
僕は夢中でレベルアップを繰り返した。

ついにレベル99。箱は僕より大きくなっていた。背伸びしてボタンを押す。
ビヨヨ〜ン!
巨大な人形が飛び出してきて、僕はパクリと飲み込まれた。

気がつくと、真っ暗な部屋に閉じ込められていた。
天井には、レベル1と表示されていた。
ホラー
公開:19/07/17 23:03

のりてるぴか( ちばけん )

月の音色リスナーです。
ようやく300作に到達しました。ここまで続けられたのは、田丸先生と、大原さやかさんと、ここで出会えた皆さんのおかげです。月の文学館は通算24回採用。これからも楽しいお話を作っていきます。皆さんよろしくお願いします。

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