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「それでは、あなたは昨夜、こちらの家で起きた殺人事件については何もご存じではないんですか?」
若い刑事は、近隣に住む50代半ばの主婦に昨夜の殺人事件について事情聴取をした。
「いいえ。全く。いくら、駒井さんの家がお隣でも、さすがに、物音まではきこえてこなかったわ」
「そうですか。昨夜、不審な人物の目撃も」
「勿論、ないわ。刑事さんも大変ね。それじゃあ、私は夕飯の買い物に行かなきゃいけないから、これで失礼するわね」
主婦はそう言い残し、その場を去った。
刑事は、腰に携帯していた銃の引き金をゆっくりと戻し、乱れた呼吸を整えた。
「運がいい、ばあさんだ」
刑事は、道の路肩にとめていた黒塗りの車に乗り込んだ。
ミステリー・推理
公開:19/07/17 22:44

神代博志( グスク )









 

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