私が何を?
0
5
その日も特に変わらない日のはずだった。
出社のためにアパートを出て、駅へ歩き始めた私に突然…
「ありがとうございました」
見知らぬ女性が追い抜きざま声をかけてきたのだ。
(はあ?)
呆気にとられる私をよそに、彼女は遠ざかっていく。礼を言われる覚え等ないのに。
だが、異様はエスカレートした。
「本当にありがとうございました」
「助かったよ」
「お兄ちゃん、サンキュー!」
気味悪いことに大人も子供も、逢えば私に礼を言い続けるのだ。
(私が何をしたと?!)
やっと駅に駆け込んだ私に、今度はホームの乗客が礼を言い、さらには到着した電車の車内からも。
(誰か教えてくれ!)
発車ベルが鳴った。
(いやだ、乗りたくない!)
思った私だが車内に押し込まれた。
そしてドアは閉まり、悲鳴はかき消され、発車した電車はスピードを上げ、線路を引き返していった。
出社のためにアパートを出て、駅へ歩き始めた私に突然…
「ありがとうございました」
見知らぬ女性が追い抜きざま声をかけてきたのだ。
(はあ?)
呆気にとられる私をよそに、彼女は遠ざかっていく。礼を言われる覚え等ないのに。
だが、異様はエスカレートした。
「本当にありがとうございました」
「助かったよ」
「お兄ちゃん、サンキュー!」
気味悪いことに大人も子供も、逢えば私に礼を言い続けるのだ。
(私が何をしたと?!)
やっと駅に駆け込んだ私に、今度はホームの乗客が礼を言い、さらには到着した電車の車内からも。
(誰か教えてくれ!)
発車ベルが鳴った。
(いやだ、乗りたくない!)
思った私だが車内に押し込まれた。
そしてドアは閉まり、悲鳴はかき消され、発車した電車はスピードを上げ、線路を引き返していった。
その他
公開:19/07/17 19:20
コメントはありません
ログインするとコメントを投稿できます