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雑誌に載っていた話題の手芸店へやって来た。本を片手に辿り着いた店の扉には、色とりどりの布がセンスよくパッチワークのように貼られており、中へ入ると、金魚みたいな紅白のちりめん布と水色のサテンが天井から垂れるように飾られていた。
別世界に入り込んだみたい──。
そして壁一面には様々なデザインのボタンがディスプレイされていた。
「わぁ壮観ですねぇ…」
『いらっしゃいませ。みんな持ち主に失くされ、迷子になってここへ来たんですよ。私たちはそれを元へ返…』
「あっこのボタン!母が私に初めて作ってくれた幼稚園のバッグに付いてたのにソックリ!」私は店員さんの話を遮り、目線の高さにあったそれにいきなり手を伸ばした。
『お客様!ボタンに触れると…』
「あー懐かし…」
撫でてる途中で私は気を失った──。

『ここのボタンは触れると最初の持ち主の元へ帰るんですよ。お客様は亡くなったお母様の元へ…。良かったですね』
その他
公開:19/07/15 08:00
更新:19/07/15 21:41

ことのは もも。( 日本 関西 )

日本語が好き♡
18歳の頃から時々文章を書いています。
短い物語が好きです。
どれかひとつでも誰かの心に届きます様に☆
感想はいつでもお待ちしています!
宜しくお願い致します。

こちらでは2018年5月から書き始めて、2020年11月の時点で300作になりました。
これからもゆっくりですが、コツコツと書いていこうと思います(*^^*)

2019年 プチコン新生活優秀賞受賞
2020年 DJ MARUKOME読めるカレー大賞特別賞受賞
2021年 ベルモニー縁コンテスト 入選

カントー地方在住
 

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