びっくり箱

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そりゃ驚きますよね。箱からピエロみたいな男が飛び出してくるんですから。私、びっくり箱の遠藤と申します。
おやおや、開いた口が塞がりませんか。今回もいい仕事が出来たようです。
何故、私がいるのかと、そう尋ねたいわけですね。顔を見ればわかりますよ。
そもそも、よくあるバネ仕掛けのびっくり箱は我々の偽物なんです。箱にあらかじめ人形が仕込んである。それでは最初は驚いても、次は絶対に驚きません。私のような本物のびっくり箱は、依頼された日時に、依頼された箱の中に隠れるんです。
どんな箱にだって隠れますよ。プロですからね。これは企業秘密なんですが、箱の中に瞬間移動するコツがあるんです。指定された日時に指定された箱にジャンプするんです。
ようやく納得してくれましたか。
え、ここじゃない?
場所を間違え…た、大変申し訳ございません!
それではここは……へ?
お葬式の棺?
そりゃ驚きますよねぇ。

私もです。
ファンタジー
公開:19/07/15 23:30

のりてるぴか( ちばけん )

月の音色リスナーです。
ようやく300作に到達しました。ここまで続けられたのは、田丸先生と、大原さやかさんと、ここで出会えた皆さんのおかげです。月の文学館は通算24回採用。これからも楽しいお話を作っていきます。皆さんよろしくお願いします。

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